第 4 回
景況と市場規模の変遷——コロナ禍を乗り越えた2兆6,820億円産業
バブル崩壊、リーマンショック、そして新型コロナウイルス
——理美容業界は幾度の経済ショックを経てきました。
景況感のデータと市場規模の推移から、
この産業の「強さと弱さ」を読み解きます。
📊 出典:日本政策金融公庫 生活衛生関係営業景気動向調査・ホットペッパービューティーアカデミー
業況判断DI(景況感)の推移
日本政策金融公庫が発表する「業況判断DI(Diffusion Index)」は、
景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた指数です。
プラスであれば「良い」が多く、マイナスであれば「悪い」が多い状態を示します。
2020年のコロナショックの深刻さです。
美容業のDIは-50.9まで急落。緊急事態宣言による営業自粛・時間短縮、
お客様の外出自粛が直撃しました。
それでも理美容業は「生活に必要なサービス」として回復が比較的早く、
その後2〜3年で業況感は概ね回復しています。
2024年4〜6月の美容業DIはプラスに転じており、
業界全体として「上向き感」を持つオーナーが増えています。
ただし、物価高・光熱費上昇・最低賃金引き上げという新たなコスト圧力が収益を圧迫しており、
景気回復の実感は店舗規模によって大きく異なります。
理美容サロン全体の市場規模は2022年度で2兆704億円、
2025年上期推計では2兆6,820億円(美容サロン全体。理容・美容・エステ等含む)
まで回復しました。
コロナ前水準を超え、特に美容室は過去最大規模となっています。
注目すべきトレンドとして、「値上げ」が市場成長の主要因になっていることがあります。
2024年の調査では「利用金額が増えた理由の1位は値上げ」
と回答した消費者が最多でした。客数が微減傾向の中、
単価上昇が市場規模を支えるという構図です。
歴史的な景況変動と業界への影響
| 時期 | 主な出来事 | 業界への影響 |
|---|---|---|
| 1990年代後半 | バブル崩壊の余波・低価格競争 | QBハウス等の格安チェーン台頭。理容室が減少へ |
| 1998年 | カリスマ美容師ブーム | 美容室が20万軒を突破。業界に活況 |
| 2008〜09年 | リーマンショック | DI急落。節約志向で低価格需要が増大 |
| 2011年 | 東日本大震災 | 統計上の一時的な落ち込み(集計不全) |
| 2020〜21年 | 新型コロナウイルス | DI -50.9の過去最悪値。コロナ禍でも開業数は増加という逆説 |
| 2022〜23年 | コロナ明け・物価高 | 客数回復も原材料・光熱費上昇がコスト圧迫 |
| 2024〜25年 | 賃金上昇・インバウンド回復 | 客単価上昇が市場をけん引。過去最高水準へ |
📌 第4回まとめ|景況の核心
- コロナショックでDI -50.9と過去最悪を記録するも、2024年にプラス転換
- 市場規模は2025年に過去最大水準。しかし成長の要因は「値上げ」であり、客数は微減
- 物価高・人件費上昇という新たなコスト圧力が、利益構造を圧迫している
- 40〜60代のロイヤルカスタマー(年間10万円以上)が売上の中心に




